山形美術進学塾


鉛筆デッサンの道具1

鉛筆デッサンで使う色々な道具を紹介して行きます。



鉛筆以外でも鉛筆デッサンで使用する道具はたくさんあります。
思いつくものから色々紹介して行きたいと思います。


■鉛筆デッサンとは?

 鉛筆でデッサンするということがどういうことか?を考えてみると、鉛筆以外の道具の重要性が見えてきます。
 デッサンはお絵かきではありません。構造の把握とその証明、それ自体の練習でもあります。
 単純なルールで言えば、紙の白に対して鉛筆のカーボンの黒を乗せ、そのコントラストで擬似的な3Dの空間を表現していくということになります。言い換えれば、紙に鉛筆のカーボンでコントラストをつけられれば、必ず鉛筆を持って書く必要はない、ともいえます。それを踏まえて、他の道具を見て行きましょう。



■練りゴム

 鉛筆の次に最重要の道具です。
 柔らかい消しゴムです。しかし、消すためには使いません。画材として考えた場合、これは白を入れる、もしくは明度を上げるための道具です。
 この“消すではなく白で描く”は初心者にはなかなかわかりにくい概念です。練りゴムを有効に使うためにあえて一回暗くする場合もあります。
 柔らかさを使って、紙の上に浮いた粉だけふわっととったり、鋭い形に整形してシャープにとったりと使い方はまさに多様です。鉛筆で書くがデッサンだと思っているうちは使いこなせない道具であり、これを有効に使い始めてからがデッサンであるとも言えるかもしれません。
 メーカーによって少し質感が違います。私のオススメはI-Z CLEANERです。値段もあまり高くなく、それでいて適度な柔らかさと強すぎない粘りがあります。これから初めて、色々試してみると面白くなると思います。



■サッピツ

擦筆と書きます。紙を硬く巻いただけのものです。が!これがかなり便利です。
 デッサンは鉛筆や木炭等で描くことが多いのですが、その道具を用いて書かなければならないというものでもありません。描くためには書かなくても良いのです。この“書くと描くの違い”を顕著に表したものだとも言えます。
 紙に乗った鉛筆の粉や炭の粉を擦って伸ばしたり、紙に練りこんで定着させたりするのに用います。鉛筆等で載せた調子を変化させることで、表現の幅をもたせることができます。明度としては硬い鉛筆で描いたものと近かったとしても、紙の目が生きているため、調子に変化が付きます。これにより、紙の中に作る擬似的なZ軸を表現できたりします。手でこすったりする場合もありますが、手とはまた違った効果があります。サッピツ自体に粉が残るので、長く伸ばすことができます。同じような作業をするために、ティッシュを使ったり、ガーゼを使ったりもします。それぞれ効果が違うので、試して見ると面白いでしょう。
 汚れてきたら鉛筆のように削って使うこともできますが、汚れている方が便利な場合もあるので、複数所持していても良い道具です。
 オススメのはホルベインの太めのものです。他のメーカーに対して巻きが硬く、力をかけやすい気がします。細いと力をかけにくく、折れやすくなります。太くても先端の細さは変わらないので、太いものだけで大丈夫な気がしますが、有効な使い方を思いつくのであれは細いのも試して見ると良いと思います。



■鉛筆ホルダー

鉛筆を延長する道具です。
 鉛筆が短くなったときに使う貧乏くさいものと認識されがちですが、違います!新品の段階でも私は多用します。というか、ないと描けない!
 デッサンを書く場合、鉛筆は長いほど有利です。鉛筆が長ければ長いほど、自分の体をパネルから離すことができます。画面が自分に近いとパネル全体を把握することが難しくなります。画面の外側が手付かずで残ってしまう癖がある人は使ってみるといいと思います。
 全体把握の他にも、ストロークが大きくなるという効果もあります。小さい作業をしているとこれもやはり全体感を台無しにしがちです。それどころか、描かず塗ってしまう危険性もあります。大きなストロークで描こうとした場合、手首や肘ではなく肩から腕全体を動かします。その時、肩から紙までの距離が長くなるほど必然的に線のストロークも大きくできます。少しでもその長さを作り出す方が、大きな捉え方をしたい時には便利です。
 弱点もあるにはあります。鉛筆の硬さが読めなくなってしまいます。いちいち外して確認するのが面倒という意見もあります。
 が!
 慣れてくると鉛筆の硬さは芯を見ただけで、もしくは紙に鉛筆をくっつけただけでわかるようになってきます。なので、さして問題はないはずです。いちいち確認するとしても、メリットの方が大きいので、ぜひ準備するべきでしょう。
 上手い人間ほど鉛筆を長く持つと言われていたりするぐらいなので、まず形から入るつもりで購入してみるといいと思います。
 画材屋さんで買うと2本で300ぐらいです。100ショップでも売っていますが、ホルダーを締める部分が大きく太めで、鉛筆を寝かそうとするとパネルにあたるので少し邪魔になる気がします。ここら辺は好みで選びましょう。


 とりあえず第一回はこんな感じ。まだまだ紹介したい道具はあるので、順次追加して行きます。


2018年03月23日 | 画材TOPお知らせよくある質問